インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ノロウイルス、麻疹ウイルス…
感染症を引き起こす主な病原体の1つであるウイルス。
しかし、ウイルスは細胞膜がなく人に寄生しているため、治療薬が少量しかなく開発段階のものも多いというのが実情です。
今回は、朗報という意味で、水素イオンがウイルスにどのように関係しているかを紐解いていきます。
ウイルスと細菌の違いとは
感染症を引き起こす主な病原体である、「ウイルス」と「細菌」にどのような違いがあるかご存知ですか。
まずは、この目に見えない病原体の違いを項目別に紹介します。
大きさの違い
細菌は、光学顕微鏡で見ることができる大きなのに対し、ウイルスはさらに拡大率の高い顕微鏡でないとみることができない大きさと言われています。
数値で表すと、ウイルスの大きさは約20~300nm(ナノメートル)で、細菌は約1~5μm(マイクロメートル)です。
また、ウイルスは構造が単純で特有の特徴も少ないと言われています。
増殖の仕組みの違い
ウイルスは単独では増殖できないので、人の細胞の中に侵入し増殖します。
一方、細菌は体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら人の細胞に侵入するか、毒素を出して細胞を傷害します。
上記のように、ウイルスには細胞の中に潜り込むという特徴があるため、細胞に影響を与えずに細胞中のウイルスだけに特異的に効果を示すような抗ウイルス薬の開発は非常に難しいとされています。
殺菌の武器は○○!
この○○に入る言葉…それは活性酸素です。
そもそも活性酸素とはどのようなものなのか、またどういった役割があるのかをご紹介します。
活性酸素とは
活性酸素とはいくつかの物質の総称であり、電子を吸収して生じ次々に電子を吸収して変化していくものです。変化の段階としては、「スーパーオキシドラジカル」→「過酸化水素」→「ヒドロキシラジカル」となっており、段階を重ねるごとに酸化力が強くなっています。
ちなみに、スーパーオキシドラジカルとヒドロキシラジカルを比較すると、その酸化力は100倍以上も違います。
活性酸素の種類とその役割
活性酸素が発生すると、活性酸素を消す酵素が増えます。この役割を果たすのが、スーパーオキシドラジカルや過酸化水素で、「善玉活性酸素」と呼ばれます。
一方で、身体にとって必要な役割がなく、遺伝子やたんぱく質、脂質を酸化して破壊するものが、ヒドロキシラジカルで「悪玉活性酸素」と呼ばれます。
つまり、活性酸素は大きく分けて善玉と悪玉の2種類に分けられるのです。
ウイルスに対する水素イオンの関係性
上記の悪玉活性酸素であるヒドロキシラジカルに特定的に作用する物質が水素です。
この水素が、ウイルスとどのような関係があるのかについて、水素の特徴をもとに紹介していきます。
水素の特徴①:抗酸化
活性酸素を除去できる物質を抗酸化物質と呼びます。例えば、ビタミンCやビタミンE、カテキン、コエンザイムQ10等が当てはまります。
抗酸化作用の強さから善玉活性酸素まで除去してしまうものがある中で、水素だけは悪玉活性酸素のみに作用します。加えて、水素は悪玉活性酸素と反応すると無害な水になります。
水素の特徴②:抗菌・抗ウイルス
細胞は脂や水溶性等さまざまな物質でできています。そのため上記にあるような水溶性のビタミンCや水に溶けないビタミンE等、それぞれの抗酸化物質は特定の場所にしか作用できません。
しかし、水素は宇宙で一番小さな分子という特徴から、細胞内のどこにでも入ることができます。これは、細胞の中に潜り込む性質を持つウイルス撃退にはもってこいの物質と言えます。
また、細胞膜には、水素イオンの通り道となる水素イオンチャネルというたんぱく質があります。水素イオンチャネルは、活性酸素の原料である水素イオンを細胞の外に運ぶことで細胞内外の酸とアルカリのバランスを調節し、活性酸素の生成を維持しています。
そして、細菌に感染して発熱した時には水素イオンが大量に流れ、活性酸素がたくさん生成されることで細菌を殺しています。
まとめ
今回は、ウイルスの撃退に水素イオンがどう関わっているのかについて紹介しました。
ウイルスは様々な種類があり反応にも個人差があるため、上記が全てに該当するわけではありませんが、体に害なく撃退できるというのは大きなプラスのポイントですよね!